【オーバーホール】依頼する前に知っておかないと損する? 時計のメンテナンスに関する内容の違い
長年使っている時計は電池寿命が短くなったり、精度が悪くなったりすることが有るかと思います。
そのような時はメンテナンス修理が必要になり、時計を長持ちさせる為にも重要な事です。
しかし、時計にも沢山の種類がありますし、ひと口に「修理」「メンテナンス」と言っても内容に違いが有ることはご存知でしたか?
今回は時計を修理、メンテナンスに依頼する前に知っておいてほしい事をご紹介したいと思います。
ご自身の時計がどのような内容のメンテナンスになる可能性が有るのかを知って頂いた上で時計店へご相談いただければ幸いです。
メンテナンスの内容
時計は精密機械なので定期的なメンテナンスや修理が必要です。
しかし、この内部メンテナンスにも大きく分けて2つのパターンが有ります。
1つは「オーバーホール(分解掃除)」 もう1つは「ムーブメント交換」です。
まずは、簡単に内容をご説明したいと思います。
【オーバーホール】
ムーブメント(機械)をパーツ毎に分解して洗浄をかけ再度組み直します。 洗浄することによって古い潤滑油を洗い流し、新しい潤滑油をさすことによって出来るだけ新品の状態に近づけます。
この方法はパーツに破損が無い限り基本的に元のパーツをそのまま使います。 定期的なオーバーホールはパーツの保護にもつながります。
機械式の時計は定期的なオーバーホールをすれば一生ものだなんて言われています。
【ムーブメントの交換】
時計の中からムーブメント(機械)を外し丸ごと新しいムーブメントに交換してしまう手法です。 丸ごとの交換になるので、機械は新品になります。
作業の効率が良く、人件費よりムーブメントの方が安い(らしい)ことから比較的安価なファッション時計がこの方法を採用している場合が多いです。(安価な時計と言っても数万円クラス)
損をするメンテナンスとは?
ここからは個人的な意見です。 お店や技術者によっては意見が分かれると思います。
先ほどご紹介したムーブメントの交換対応になる時計はメンテナンスに出しても結局ムーブメントが新品になるわけですから、時刻が正確に動いているのなら、メンテナンスの必要はないと思います。
例えば電池寿命が2年から1年に短くなってしまったが時刻は正確に動いている場合、潤滑油の劣化が考えられ、お店によっては修理、メンテナンスをオススメされます。
ここでオーバーホール対応の時計をメンテナンス修理に出すとパーツの劣化や摩耗を抑えられます。
しかし、ムーブメント交換対応の時計をメンテナンス修理に出すと、ムーブメント自体が新品になります。
ムーブメント交換対応の時計の機械は修理のたびに新品になるわけですからパーツを保護する理由はありません。
ちなみに、金額はピンキリですが、約1万円ぐらいはかかると思います。
確かに潤滑油の劣化は今後不調を起こす可能性もありますが、それならもう少し使って、完全に壊れてから機械を交換すれば良いのではないか? というのが私の意見です。 場合によっては電池寿命は短くても数年動く可能性もあります。
突然壊れても困るというのは分かります。 ただ、しばらくメンテナンスをしていない、または電池寿命が少し短くなったからと言って数万円の時計に1万円もかけてムーブメント交換をする必要はあるのかは疑問です。
最後に
再度言いますが、これは私個人の意見です。 時計の状態によっても意見が分かれると思います。
実際、私も大切な時計や急に壊れることを出来るだけ避けたい場合は定期的なムーブメント交換をすると思います。
そうでなければ修理やメンテナンスのタイミングを考えてみるのが良いいと思います。
本体が数万円の時計に修理費を1万円かけるのであれば新しい時計を買う事も視野に入れられますしね。
また、内部の機械以外にも問題が起きている可能性が有るので一概には言えないのですが、専門家に金額や期間だけを見積りしてもらうのではなく、どのような修理内容なのかを確認し、いくら金額をかけてどのくらいのメリットが有るか? またはどのくらいのデメリットがあるのかを考えてから修理に出すことをオススメします。
ちなみにオーバーホールを依頼しても「分解掃除」ではなく「ムーブメント交換」で返却される場合も考えられるので、見積り時にしっかり確認した上で修理、メンテナンスをご依頼ください。